フン・マネット カンボジア首相、日本に投資拡大を呼びかけるが‥

2025年5月28日、カンボジア首相フン・マネット(Hun Manet)氏が来日。翌29日には多くの日本企業との交流や商談会が催された。

会場に入るフン・マネット首相

(2025年5月29日、ホテル・ニューオータニ)

写真4点 撮影=©KazunoriShirouzu

フン・マネット氏は2023年8月首相就任から4か月後の12月には「日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議」参加のために来日している。この会議にはASEAN10か国のうち、クーデターで軍事政権となったミャンマーを除く9か国首脳が一堂に集まった。

この時、フン・マネット氏は46歳と若く、何となく頼りなさげな雰囲気であったが、今回の来日では少しは首相らしくなった印象だ。それでも強面で強権が売り物だった父親(フン・セン先代首相、現・上院議長)に比べるとやはり頼りなさは消えていない。

政治家も企業もフン・マネット氏の背後に控えるフン・セン先代首相の顔色を窺っているのが実態だろう。

しかも、カンボジアの政治や経済においては中国の影響力が圧倒的に大きく、日本の存在感は薄い。中国との関係を太くした人物こそがフン・セン先代首相なのである。日本企業は大体においてフン・セン先代首相が苦手である。日本企業が対カンボジア投資にいまひとつ積極的になれない要因の一つでもある。

交流会に参加した日本企業の一人は、「やはりカンボジアは中国の影響が濃すぎるのと、フン・セン先代首相の力が相変わらず強いのでやりにくい」と漏らす。

会場を退出するフン・マネット首相

フン・マネット氏はアメリカの陸軍士官学校卒業、ニューヨーク大学(経済学修士号)、イギリスのブリストル大学(経済学博士号)を経て2021年に首相後継者に指名されている。物静かで礼儀正しく勤勉との人物評がある。

実権の移譲と世代交代を手にするのはまだまだ先の話か。

 

(記・白水和憲)