この3月、米経済誌フォーブスが2026年版世界長者番付トップ200を発表した。
このうち、タイの長者トップはCPグループ(Charoen Pokphand Group、正大集団)上級会長のタニン・チェラワノン氏(=謝国民、87歳)。資産は199億米ドル(約3兆1,644億円=発表時の換算レート)、世界では135位であった。
タニン氏は香港で種子ビジネスを手がけていた潮州華僑の謝易初氏(CPグループの創始者)の4男で、父親の死後、グループを引き継ぐ。
私がタニン氏に最初に会ったのは約36年前の1990年5月30日。
会うきっかけは、歌手ジュディ・オングさん(翁倩玉、または翁玉恵)の父親・翁炳榮氏だった。タニン氏は頻繁に商談で台湾を訪れていたが、当時台湾ラジオ局に勤務する翁炳榮氏と出会い、それ以来、2人の緊密な交流が始まったようだ。
翁炳榮氏は一時期日本駐在していたこともあり、知日派でもある。翁炳榮氏の台北の連絡先を探し当てるのは簡単だった。そこで、まず台北に住む翁炳榮氏を訪ね、タニン氏を紹介してもらったという次第。
バンコクのシーロム通りというビジネス街の一等地に建つCPタワー29階の会長室で2時間ほどのインタビューをした。当時、タニン氏はCPグループ会長兼CEOであり、50歳の働き盛り。

タニン・チェラワノン氏にインタビュー
(1990年5月30日、タイ・バンコクのCPタワー29階 会長室で)
写真撮影=©KazunoriShirouzu
「タイ人以外で、タイに住み、満足できるのは日本人しかいない」
「日本人はタイの風土に耐えられると思う」
「中国人がタイ社会に溶け込んだように、日本人もそうなるといい」
「日本企業は最高のパートナーだ」
そう言い切ったタニン氏。日本に対してかなりの入れ込みようだった。
日本企業をパートナーにして、CPグループはアジア有数の財閥にまで上り詰めた。
(記・白水和憲)