マレーシア首相アンワル・イブラヒム氏が2026年6月9日、東大・本郷キャンパスで「Humanity in A Human-Machine Civilisation」と題する講演を行った。

東大・本郷キャンパスで講演するアンワル・イブラヒム首相(右側)
(2026年6月9日)
写真撮影=©KazunoriShirouzu
アンワル首相は、国や企業の発展にはAI(人工知能)活用が必須とし、2030年までにマレーシアを「AI国家」にする目標を掲げている。
その一方で、AIの知識と技術がごく一部の国や企業によって握られていることが「不平等と不公正」の拡大につながり、ひいては国家の命運や民主主義にも影響が及びかねないと懸念した。

セキュリティー上、接近写真撮影が禁止されていたため、©共同通信 提供写真
マハティール元首相に代表されるように、マレーシアは小国ながらも一貫して欧米中心主義に異議を唱えてきた長い歴史がある。アンワル首相もその希少な国家観を引き継ぎ、独自の発言を行ってきた。
私は38年前の1988年4月、当時教育相だったアンワル氏に直接インタビューした経験がある。その時、アンワル氏は首相コースに乗った40歳の若手政治家の筆頭だった。
マハティール氏との確執から1998年副首相の時に失脚、まさかの同性愛容疑で有罪・刑務所収監。2018年には20年ぶりに政界復帰を果たし、ついに2022年11月に首相となった。

38年前(1988年4月)は精悍な顔つきが印象的だった―――直接インタビューした際のアンワル・イブラヒム氏
写真撮影=©KazunoriShirouzu
38年前は明らかにエリート然とした面構えで、インタビュー時はとっつきにくい印象だったが、さすがに長期の刑務所収監と政界復帰後の政争で苦労した様子がうかがえる。
78歳となった現在、声は低くしゃがれ、背筋もやや傾き、実年齢以上の印象が否めないが、それでもマレーシアの未来はこのアンワル氏にかかっている。頑張ってもらいたい。
今回、首相としては3度目の来日となった。
(記・白水和憲)