海外逃亡中のタクシン元タイ首相、香港に現れる

 タクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra、73歳)は元タイ首相。権力闘争に敗れ、汚職罪で有罪となり実刑判決が下った。しかし、服役を断固拒否、2008年から国外逃亡中の身となった。毀誉褒貶に満ちた人物だが、都市部労働者階級や東北部農村での大衆的人気はいまなお抜群。タイへの帰国と国政復帰を諦めていないとされてきた。

 そのタクシン氏がこの2月下旬、実妹の元首相インラック(Yingluck Shinawatra、55歳)、タクシン次女のペートンタン(Peathongtarn Shinawatra、36歳)を伴って香港に現れた。

 実は、当欄では以下のような内容の記事を11年半前に掲載している。

(※ 2018年11月HPリニューアルのため、当時の本欄記事は閲覧できない)

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「国外逃亡中のタクシン元タイ首相、日本に現れる」(2011年8月23日)

 2011年8月23日、タイのタクシン元首相が都内(学士会館)に現れた。入国ビザをめぐって来日直前までもめたが、某政治家(註1)のねじ込みで日本政府は入国を認めた。

 

2011年8月23日、日本に突然現れたタクシン元首相(於:東京・学士会館) 
写真撮影= 2011©KazunoriShirouzu

 

 タクシン元首相は2006年のクーデターで失脚した後、2008年に汚職罪で実刑判決を受け、服役を拒否して国外(中東ドバイ)で逃亡生活を続けている。

 2011年8月、実妹のインラック氏が首相になったのを機に復権に向けた活動が目立ってきた。ただ、本人は「首相に返り咲きたいとは思わない」と公言しつつも、実妹へのアドバイスは熱心のようだ。

 

日本の一部支援者からは熱烈に歓迎されたのだが、、、 
写真撮影= 2011©KazunoriShirouzu

 

 かつて大盤振る舞いの経済活動を主導したタクシン元首相だが、その余禄にあずかった日本の企業や政治家なども多い。今回の来日では遠巻きに静観する関係者が多く、やはり、「金の切れ目が縁の切れ目」なのか、日本人の損得勘定をタクシン元首相はどうみたか。

 「やはり権力を持っていなければ誰も近づいてこない」と言いたそうな顔だった。

(記・白水和憲)

 

 

(註1 は故石井一元自治相と言われている。さらに2018年3月、タクシンはプライベートジェットで羽田空港から再び日本に入国している)

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 またしてもタクシンは神出鬼没ぶりを発揮し、香港に現れたという次第。ただ、今回は自身の帰国に向けた活動というよりは、5月予定の総選挙にタイ貢献党から出馬する次女ペートンタン(党は彼女を首相候補に推す可能性が大きい)の後方支援のためのパフォーマンスとみられる。

 タクシンはタイへの帰国と国政復帰(もちろん、首相として)を諦めたとはどうしても思えない。実妹インラックが首相になった時と同じように、今回のペートンタン支援もその背後にタクシン自身が大御所として控える、といった構図となろう。時期が来れば再びタイ政界トップの座に、という野心が露骨に見え隠れする。

 タイではいまもタクシンの神通力が健在なのかどうか。

 結論を出すのはタイ国民自身であるのだが、、、。

 

(記・白水和憲)