ベトナム国会は1月18日、グエン・スアン・フック(Nguyen Xuan Phuc)国家主席の解任を決議した。その前日(17日)にはベトナム共産党がフック氏の政治局員、中央委員、国防安全保障評議会議長からの解任も決定していた。
ベトナム社会主義共和国の誕生(1976年7月)以降、国家主席の解任は初めてのケース。
<註:ベトナム社会主義共和国の最高指導者は共産党書記長だが、国会の最高位(元首)は国家主席>
暫定措置として、当面はボー・ティ・アイン・スアン(Vo Thi Anh Xuan)副主席が国家主席代行を務める。スアン副主席は女性。
フック氏解任の背景には、ベトナムにおける新型コロナ感染拡大時に多くの政府高官が関わった不正・汚職事件で政府関係者ら140人以上が処分された。その責任がフック氏にまで及んだものとされる。
フック氏は首相時代(2016~2021年)には日本企業のベトナム投資誘致に積極的だったことでも有名だ。
今回のフック氏解任の2週間前、1月5日には2人の副首相(ファム・ビン・ミン筆頭副首相、ブー・ドゥク・ダム副首相)の同時解任劇があったが、2022年12月30日開催のベトナム共産党臨時中央委員会総会でミン氏の政治局員・中央委員、ダム氏の中央委員からの解任決定がその前兆としてあり、早晩副首相からの退任も既定路線となっていた。
汚職事件の逮捕者は政府関係者だけでなく、民間企業トップも含めてまだまだ増えるとの見方が多い。
(記・白水和憲)