アンワル・イブラヒム(Anwar bin Ibrahim)が悲願のマレーシア政治のトップに立った。
本HPでは同氏の動向について2018年11月2日「アンワル・イブラヒム、20年ぶりに復活」、2020年6月30日「混迷のマレーシア野党共闘、三文芝居に似た結末も」でも言及した。
どちらもアンワル氏が“本当に首相になれるかは、まだ予断を許さない”とし、マレーシア政界の妖怪マハティール元首相との脆くて危うい関係が続く限り、政界トップの座は簡単には手に入らないだろうと推論した。
失脚から24年、政界復帰から4年。
なんと言えばよいのか。「It is a long lane that has no turning.(曲がり角のない道はない)」とでも言おうか。
この11月総選挙で自身の政党「人民正義党(PKR)」が参加する「希望連盟(PH=Pakatan Harapan)」を中心とする連合政権樹立を果たし、11月24日に第10代首相に就いた。
私(白水)が初めてアンワル氏に会った1988年4月は若干40歳の教育相だった。その後、副首相の時(1998年)に失脚、まさかの同性愛容疑で有罪・刑務所収監、2018年には20年ぶりに政界復帰を果たすも、不安定なマレーシア政治の中で盤石な地位を築けず、迷走していた。それでもアンワル氏は頂点を目指すことを諦めず、やっと首相職を手に入れた。
35年前は明らかにエリート然とした面構えだった若きアンワル氏もいまは75歳、苦難の人生を経験してきたせいか、首相就任後の記者会見では白髪が目立っていた。
(記・白水和憲)