インドシナ半島分断の一里塚か、ラオス中国鉄道の開通

 2021 年 12 月 3 日、ラオス中国鉄道が開通した。ラオスの首都ビエンチャンから中国国境ボーテン経由で中国雲南省昆明まで延びる。ラオスにとっては初の長距離鉄道となる。

 ラオスと中国の両政府が鉄道建設プロジェクト(建設総額 62 億 8000 万ドル)合意文書に調印したのが2015 年 11 月だから、わずか6年で開通にこぎつけた。全長422 キロ、33駅(うち旅客駅10)、橋梁167、トンネル75。1 日18往復(旅客 4 、貨物 14 )からスタートする。

 建設・運営はラオス鉄道公社と中国企業 3 社による合弁企業(中国70%、ラオス側 30%出資のラオス中国鉄道株式会社)が担う。プロジェクト総額の約 60%を合弁会社が中国輸出入銀行から借り入れるが、経済規模が極めて小さいラオス側にとっては将来にわたって重い債務がのしかかる。

 中国にとっては「中国ラオス経済回廊」の建設に加え、いずれはラオス・ビエンチャンからタイ・バンコク、マレーシア・クアラルンプール、シンガポールへと南下するASEAN版「一帯一路」構想(敷設全長 3894 キロ)を視野に入れる。中国が内陸部(雲南省)からASEAN周辺の海に出るルートを敷設するということは、まさにインドシナ半島を真っ二つに分断し、ASEAN安全保障の瓦解を目論んでいるとみられても仕方ない。

 

ラオス・ミャンマー・タイのメコン川三角地帯(ゴールデントライアングル)を小舟で航行 
写真=©KazunoriShirouzu
河岸で泳ぐ子供たち、、、ラオスはまだ発展途上の段階
写真=©KazunoriShirouzu

 一方、「閉ざされた内陸国」からの脱却を果たしたいラオスにとっては中国の資金力が頼みの綱であると同時に、債務の重荷が待ち構えている。中国に対する公的債務は隠れ債務を含むと対 GDP 比で6割を大幅に超えると推計されている。もし、今回の鉄道プロジェクトにおける債務を返済できない場合、ラオスは他の重要資産すらも中国に没収されかねない。

 昨年11月、ラオスは第9期第2回国会初日に2021年GDP成長率見通しが3%(当初計画は4%)と説明。新型コロナウイルス感染拡大の長期化で観光関連産業、とくにホテル・レストラン分野で▲28.6%と大きく落ち込むと指摘している。

 そのため、中国ラオス鉄道の開通を契機に、鉄道沿線における開発区建設で外資企業の投資誘致、ラオス産農産物の中国向け輸出促進など経済浮揚策が真剣に議論されたが、結局、ラオス中国鉄道事業の成否も中国頼みの側面が濃い。

 ラオスの中国依存は今後も一層強まり、「中国の植民地」と言われても仕方ないほど。「東南アジアの隠花植物」ラオスの自立の日は遠い。

(記・白水和憲)