ベトナム国産車は戦略転換したトヨタの副産物か

「ベトナムからわざわざ大臣2人がトヨタ本社に出向いたのに、豊田章男社長から面会を断られました」

先日来日したベトナム政府高官が約2年前の出来事を思い出すかのように、ぼやくのを聞いた(11月12日)。

ベトナムは自動車政策の失敗(高関税、部品産業の非育成)が尾を引き、2017年国内販売はわずか27万台強(輸入車含む)。タイやインドネシアなど先進ASEAN周辺国に比べても大きく見劣りする。トヨタ(同6万台弱)は再三にわたって産業育成策推進と優遇策実施を訴えたものの、暖簾に腕押し状態。しびれを切らしたトヨタはASEAN物品貿易協定のベトナム発効(2018年)を視野に入れ、戦略転換(組立縮小、完成車輸入拡大)を図る。慌てて大臣がトヨタを説得するために来日したが、実際に面会に応じたのは部下。

ベトナム当局の対応がスロー過ぎたのも事実だが、豊田社長の態度も大人げない。ベトナム人の鷹揚気質がよく呑み込めず、辛抱できなかった恰好のトヨタの「いち抜けた」にベトナムはやむなく国産化にかじを切った。

それがビングループ傘下Vinfast(2017年6月設立)による2019年国産車発売という流れとなった。残念ながら、トヨタにとって成長著しいベトナム市場であっても、その程度の魅力でしかなかった、ということか。

バイクであふれるベトナムだが、人口1億人目前に今後は急速に自動車の普及が進む(©2018KazunoriShirouzu)

(白水和憲)

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